「地球と宇宙を考えるOnline School」の基本構想
INDEX
◆宇宙、南極、ホスト校を結ぶ三元ライブ
◆オンラインスクールのプログラム(カテゴリー別講座目録)
◆オンラインスクールとは?
◆オンラインスクールの視聴者
◆オンラインスクールの開始時期
◆ホスト校の決定
◆実験放送の開始
「地球と宇宙を考えるOnline School」の基本構想
◆ 宇宙、南極、ホスト校を結ぶ三元ライブ
もの作り先進国、日本は今、その伝統的なパラダイムに大きな軌道修正が迫られています。地球環境問題が大きく立ちはだかってきたからです。これまでのように「低コスト高品質」という経済合理性の追求だけでは世界のリーダーにはなれなくなってきました。学びの場も例外ではありません。いまや産学ともに「持続可能な開発」という21世紀の命題に明快なビジョンを提示し、かつ実践してのみ社会的に評価され、存続しうる時代を迎えています。
このように地球環境問題が人類共通の課題となってきた今日では、従来のヒト、モノ、カネ、サービスのグローバル化とは一線を画す、宇宙から全地球を俯瞰する新たな視座が求められています。オンラインスクールでは、国際宇宙ステーション(ISS)と南極観測基地をドッキングさせることによってユニークな学びの場を提供し、サイエンスに基づいた21世紀のパラダイムの創造を目指します。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)や 米航空宇宙局(NASA)は、地球観測衛星を用い地球環境に関するデータを収集。さらにグリーン技術が集積されたISSの運用にあたっても太陽電池パネルをエネルギー源として採用するなど、文字通り「持続可能な発展」の思考を具現化しています。同時に宇宙での特殊な環境(微小重力・高真空)のなかで行われる研究開発もその内容の如何にかかわらず同様の指向性が根底に流れているのです。
一方、わが国の南極観測隊は、私たちが既に3年前のライブフォーラム(http://www.liveforum.org/home.html)で報告したように、オゾンホールの観測や氷床コアの解析などを通じ、全地球的な視点から地球環境を監視しています。
この極寒での日本南極観測隊と高度400キロの宇宙空間に建設された「きぼう」に長期滞在する宇宙飛行士の活動を結びつけた時、21世紀の課題を探究する最適の思考空間が生まれます。この学習成果を専門家だけの世界に閉じ込めるのではなく、平易なコンセプトと言語で社会還元するならば、それは日本のみならず世界から注目されるユニークなオンラインスクールとなることでしょう。
オンラインスクールでは、文部科学省、JAXA、国立極地研究所、NASAなどの協力の下に、ライブ中継メディア(ICT)を駆使して「地球と宇宙」に関する授業を世界同時進行で展開していきます。また実社会のニーズを的確に把握していくため、各関連分野で活躍する人々を国内外からゲストとして迎え、産学連携を重視したカリキュラム作りを目指します。
◆オンラインスクールのプログラム(カテゴリー別講座目録)
宇宙科学
★ ライブ中継:オニズカ宇宙飛行士追悼式典「宇宙科学デー」
特別出演、松本零士氏(Sオンラインスクール名誉総裁)
★ ライブ中継:国際宇宙ステーション(ISS)と「きぼう」
★ ライブ講座:「きぼう」の舞台裏を支えるエキスパートたち
★ ライブ中継:日米宇宙飛行士フォーラム
★ ライブ講座:太陽系探査プロジェクト(JAXAとNASA)
★ ライブ講座:「地球外生命は存在するか」(火星探査機)
★ ライブ講座:宇宙機器産業と宇宙利用サービス産業
★ ライブ中継:各種教育イベント(ロボット大会などの競技等)
地球環境
★ライブ中継:温室効果ガス、オゾンホール等の南極観測
★ ライブ講座:地球観測衛星(Terra,Aqua,Aura「だいち」他)
★ ライブ講座:南極と北極の温暖化
★ ライブ講座:ノーベル化学賞受賞者ローランド博士講演他
★ ライブ講座:「持続可能な発展」(シリーズ講演)
体験教育
★ 学生による自主制作番組“わが街わが郷土”(自由テーマ)
★ 体験学習:カタリナ島エコ・キャンプとNASAツアー
(注記)オンラインスクールの回数は初年度(2009年)には少なくとも年2回を予定していますが、ホスト校と協議の上、回数、日程、プログラム(授業コンテンツ)等を最終決定します。
特別企画
文部科学省後援のドリームプロジェクト「南極と宇宙とホスト校を結ぶ
多元ライブ中継」を検討中です。この特別企画は、国際社会で活躍でき
るスーパ・サイエンス・リーダーの育成を目指しています。
◆ オンラインスクールとは?
オンラインスクールの実践方法は、ロサンゼルス、東京に設けられたライブフォーラムの特設スタジオ経由で、ホスト校へライブ配信することから始まります。学生は、昭和基地、「きぼう」、JAXA、NASAあるいは講演者からライブ配信されてきたコンテンツを視聴しながらレアルタイムで質疑応答ができ、教室が中継現場に特設されたような雰囲気の中で学習できます。
オンライン・スクールのもう一つの特質は、ホスト校へのライブ授業を第三者に同時配信して、ビューアとして質疑応答の機会を提供することです。
ビューアは、テーマ(この場合は「地球と宇宙」)に興味のある人なら、年齢、国籍を問わず世界中のどこからでも参加できますが、NASAやロサンゼルス統一学校区(LAUSD)から指名されたゲスト校のほか、在外邦人子女や在日外国人子女にも参加を呼びかけて時代の求める新たなニーズに対応するよう検討したいと考えております。言葉は、英語と日本語の2カ国語で放送されます。
オンラインスクールの原型は、世界同時配信に成功した「南極三元中継」で既に実証済みです。我々の願いは、世界と日本の架け橋となり新しい風を教育界に吹き込むことです。オンラインスクールの風穴は小さなホールかもしれませんが、そこから流れ込んでくる新風に学生たちは敏感に反応します。このような教育環境の構築は、決断さえあれば即実行可能と確信しております。
◆オンラインスクールの視聴者
オンラインスクールの視聴者は、原則としてホスト校(プロジェクト提唱校)とビューア校に二分されます。両者の違いは、前者がプロジェクトの立案から実施(放送)まで主体的に参加するのに対し、後者は、前者が制作したプロジェクトにオプションナルに参加する点にあります。
オンラインスクールのホスト校は、主に大学、カレッジ、専門学校、高校などを対象に考えておりますが、ビューア校はICTの特質上、特定する必要はなく、テーマに興味のある学校、団体、個人などが参加できます。ビューア(校)は、質問権のあるものと、質問権のないものの二者に区分してオンライン態勢を構築する予定です。
◆オンラインスクールの開始時期
第一回オンラインスクールの開始目標は、「きぼう」の第一回長期滞在計画(2009年2月12日から3カ月間)に合わせ2009年4月中旬頃を予定。
◆ホスト校の決定
現在交渉中のホスト校の中から、年内に決定。直ちにビューア校の選定を開始。
◆実験放送の開始
ホスト校の決定を受け、つくば宇宙センターまたはジョンソン宇宙センターおよび昭和基地との実験放送を年内に開始。
2008年11月24日 文責:日米ライブフォーラム 木村正弘